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温室効果ガス削減の構想そのものが、制度的基盤を失うことにもつながりかね実は、公平性という言葉は非常に重要なキーワードです。
なぜなら「国連気候変動枠組条約」の狙いを解くカギも、ここにあるからです。
このさりげない言葉を聞くにつけ、私たちは今、世界が二酸化炭素削減に取り組もうと私たちが温室効果ガスの削減に関するニュースに接するたびに耳にする、結び当たり前のことですが、そうしなければ命がないとわかれば、人間は全財産を投げ打ってでも手段を講じようとするのです。
このように、将来世代の命を問題にするような選択の余地のない議論には、本来「公平性」など介在しようがありません。
命にかかわる問題であるならば、それが公平であろうとなかろうと、誰もが環境を守るために率先して犠牲を払うはずです。
私は、世界各国の首脳が「公平性」にこだわる発言をするたびに、やはり彼らは地球温していることに、何となく崇高なイメージを抱いてしまいます。
ところがよく考えてみると、こうした結びの一文は、論理的に破綻しています。
なぜなら、地球温暖化を食い止められるかどうかという問題と公平性の問題は、直接結びつくものではないからです。
考えてもみてください。
「あなたの子どもや孫が生きることができないような環境にしていいのか?」と問われれば、誰もが「何でもするから、環境を守るいい方法を教えてくれ」と言うに決まっています。
つまり、「公平性」を前面に打ち出してお互いをけん制し、少しでも損をしないように、あるいは少しでも得になるように、綱引きをしているのです。
ここに、二酸化炭素削減問題の本質的な部分が隠されているように思います。
追って紹介していきますが、二酸化炭素の増加は人類の生存にかかわる大問題とされながらも、地球温暖化と二酸化炭素の因果関係は、実は明らかになっていません。
むしろ先進国は、二酸化炭素の取引によって世界経済に新たな成長を促そうと画策しているフシがあります。
一方、新興国も、二酸化炭素の取引が本当に利益を生み出すよう動くのか、もし動かなかった場合の保険として、新興国が有利になるような削減目標や仕組みをもっと考えて欲しいというメッセージを発しているように受け取れます。
私の考えでは、要するに先進国も新興国・開発途上国も、地球温暖化問題を解決するこ暖化の問題はどちらかというと二の次なのだなと感じます。
そして、彼らの狙いがマーケット・メカニズムを働かせることにあるという思いを強くそれを象徴するのが、各国が実際にどれだけの二酸化炭素を排出しているのか、正確に測定することができないという点です。
公平性を保証するために、条約の締約国は「科学的な方法」で各国の温暖化ガスの排出量を測定しようとしてきました。
ところが現在、温室効果ガスの排出量を高い精度で、具体的に測る方法は、実は1つもありません。
実は二酸化炭素の削減目標には、誰が見てもうなずけるような「公平性」はもともと存在していません。
各国が採用しているのは計算式を用い、使用エネルギーごとに係数を掛けて温暖化ガスの排出量を求めるというやり方です。
O温暖化ガスを正確に測る「科学的方法」はない!とよりも、マーケット・メカニズムを確実に働かせ、二酸化炭素の取引が確実に行われるようにすることに重点を置いているのです。
「全球気象観測システム」とは、地上の観測網や航空機を利用したシステムなどを統合的に運用し、地球全体の気象と温室効果ガスを測定するシステムです。
「全球気象観測システム」というと何だかたいへんな権威を感じますが、ちょっと考えてみると、これは先のバーチャルな計算式で求めた「温室ガスの削減」を補強する意味合いしか持ちません。
なぜなら、それがあらゆる地点の温室効果ガスを測定するものでない以上、得られたデータを100%信頼するには不十分だからです。
今のところ「具体的に、どの国がどの程度削減したか?」が誰の目から見てもはっきりとわかるような実測技術もデータもないのです。
では、今後、それは生まれるでしょうか?京都議定書で定められた削減目標もこの方法で算定されましたし、どのくらい削減を達成したかという時も、この計算式で求めます。
とすると、これはあくまでも机上の計算であり、バーチャルな話にすぎなくなります。
そこで、1992年の「COP1」では「全球気象観測システム」を作ることが決められました。
今のところ「衛星を利用した温室効果ガスの実測は日本の独壇場」と言いたいところですが、実態を垣間見ると、それほど浮かれた話ではないようです。
「いぶき」の打ち上げに先立つ2008年9月、文部科学省の宇宙開発委員会が開かれましたが、この議事録を読むかぎり「温室効果ガスをどれだけ吸収排出したか?」を正確に捕捉する技術の将来的な開発について、研究者も否定的な考え方をしています。
結局、各国が二酸化炭素をどれくらい削減したかは、その国のエネルギー消費量を基にした机上の計算によって測る以外に方法はありません。
1997年の京都議定書では、開催国である日本が「温暖化ガスの観測衛星を開発する」という合意が交わされました。
あまり話題になりませんでしたが、2009年2月日に、種子島宇宙センターから打ち上げられた「いぶき(GOSAT)」がそれです。
ちなみに、温暖化ガスの観測衛星はアメリカやEUでも計画され、NASA(米航空宇宙局)が「いぶき」と同時期に打ち上げを行いましたが、これは打ち上げに失敗しています。
EUでは、技術力と精度を検討した結果、プロジェクトそのものを中断してしまいました。
例えば、中国政府が発表する経済統計は、その信頼性がたびたび疑われています。
政府の政治的意思によって数字が作られている、と指摘する声は少なくありません。
また、新興国や開発途上国では、一国の経済活動を精密に把握する技術も遅れています。
こうした国々に、大都市圏から上下水道も完備していないような地域まで、エネルギー消費量を精密に捕捉する手段はありません。
新興国や開発途上国のエネルギー消費量を信頼できるとする保証はまったくないのです。
これは、きわめて重要なポイントと言わなくてはなりません。
なぜなら、たとえ新興国や開発途上国が二酸化炭素の削減に賛成し、削減目標を受け入とすれば、各国のエネルギー消費量データの信頼性は誰がどのように保証するのでしようか?こうしたことからもわかるように、新興国や開発途上国に、二酸化炭素の排出量を精密に算出せよと言うほうが、いささか無理な話なのです。
つまり、それぞれの国が排出している二酸化炭素量を実測する技術がなければ、各国の取り組みの公平性を担保する仕組みはないということなのです。
答えは、従来のエネルギー構造を変えることで、世界に、そして先進国に新しい経済成長を導くためです。
二酸化炭素の削減を金科玉条にして、世界にマーケット・メカニズムを導入する動きの裏に、私は、目先の大きな利益を追求する各国の権力者たちと超富裕層の思惑を感じざるをえないのです。
それが実際に地球を覆っている二酸化炭素の抑制に結びつくかどうかはまったくわからないからです。
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